【デット・エクイティ・スワップ(DES)】現物出資による募集株式とは?手続きをまとめてみた!
目次
デット・エクイティス・ワップ(DES)とは?
よく上場企業やベンチャー企業が行っている デット・エクイティ・スワップ(DES)って何?
デット・エクイティス・ワップ(DES)とは「債務(Debt:デット)を株式(Equity:エクイティ)と交換(Swap:スワップ)すること」の略よ。
債務を株式と交換・・・・・・?どんなときに使うのかな?
会社が経営不振に陥ると、投資家・金融機関・企業再生ファンド等の債権者から借りているお金を返せなくなるでしょ?そんなとき、債権者が会社を支援するために使うことが多いのがデット・エクイティス・ワップ(DES)よ!会社は借入金を返済することなく、株式を発行して債権者に株主になってもらうの。デット・エクイティス・ワップ(DES)を行うと会社の財務体質を改善することができるのよ。
デット・ファイナンス | 借り入れや債権の発行等の負債による方法 銀行や公庫から融資を受ける |
エクイティ・ファイナンス | 株式を発行してベンチャーキャピタルやエンジェル投資家(起業して間もない企業に資金を出資する投資家)から資金を調達する方法 |
デット・エクイティス・ワップ(DES)の仕組み
デット・エクイティス・ワップ(DES)を行って債権者が保有している債務と株式と交換するとこんなバランスシートになるわ!
会社が無事に財務状況を立て直せた場合、 貸したお金は返ってこないけれど、 債権者はIPO(株を投資家に売り出して証券取引所に上場し、誰でも株取引ができるようにすること)による投資有価証券の評価益や配当金等で資金を回収できるの。
そうよ!でもいいことばかりじゃないわ。会社・債権者・既存株主それぞれのメリット・デメリットを確認していきましょう!
デット・エクイティス・ワップ(DES)のメリット・デメリット
会社のメリット・デメリット
メリット | ・負債がなくなる ・毎月の元本・利息の支払い負担が減る ・財務体質が改善する |
デメリット | ・普通株式ではなく利益配当等について優先する種類株式等の発行が要求されることがあり、将来的に増資による資金調達に支障をきたす可能性がある ・1株でも株式を持っていれば行使できる単独株主権の行使や、少数株主でも行使できる少数株主権を行使される可能性があり、経営に支障をきたす恐れがある |
投資家・金融機関・企業再生ファンと等の債権者のメリット・デメリット
メリット | ・貸し倒れのリスクを軽減できる ・会社の経営が軌道に乗った場合、配当金やIPOによる投資有価証券評価益の収入を得られる |
デメリット | ・会社の経営が軌道に乗らなかった場合、投資有価証券評価損により多大な損失を受ける可能性がある |
既存株主のメリット・デメリット
メリット | ・倒産リスクを軽減できる |
デメリット | ・株式の価値が希薄化する ・持ち株数が相対的に減少するため会社への影響力が低下する可能性がある |
デット・エクイティス・ワップ(DES)によって債務超過(債務者の負債の総額が資産の総額を超える状態)を解消できることも多いの。
そうね。 デット・エクイティス・ワップ(DES)は経営を立て直すには有効な手段だけど、長期的に見ると高いコストがかかるの。会社を無事に立て直せたら利益を株主配当として株主となった債権者に支払わないといけないし、株主総会でムチャな提案をされることも考えられるでしょ?
デット・エクイティス・ワップ(DES)の登記に必要な書類は?
デット・エクイティス・ワップ(DES)を行うと「発行済み株式数」と「資本金の額」が増えるから法務局に登記申請する必要があるのよ!ちなみに、総数引受契約を行う場合と行わない場合では添付書類が異なるわ。
総数引受契約を行う場合の必要書類:
・株主総会議事録(募集事項の決定をした株主総会議事録)
・株主リスト
・取締役会議事録(取締役会設置会社の場合、総数引受契約を承認した取締役会議事録が必要)
・総数引受契約書
・資本金の額の計上に関する証明書
・税理士等の証明書または総勘定元帳等の会計帳簿(出資額が500万円を超える場合、総勘定元帳等の会計帳簿には原本証明が必要)
総数引受契約を行わない場合の必要書類:
・株主総会議事録(募集事項の決定をした株主総会議事録と新株の割当てを決定した株主総会議事録。なお、第三者からの申込みがあることを新株の割り当ての条件にすれば、募集事項の決定と新株の割当ての決定は同一の株主総会で決議が可能)
・株主リスト
・取締役会議事録(取締役会設置会社の場合、新株の割当てを決定した株主総会議事録に代わりに株の割当てを決定した取締役会議事録を提出することも可能)
・募集株式申込書
・資本金の額の計上に関する証明書
・税理士等の証明書または総勘定元帳等の会計帳簿(出資額が500万円を超える場合、総勘定元帳等の会計帳簿には原本証明が必要)